放射能災害が実際に何を意味するのか、これを定義し直すことでした(再定義)。
そこから、「放射能災害から命、健康を守る」ために何をすべきかを再定義してきました。
今度は、 放射能災害からの救済を実現するロードマップとして、いかなるやり方が実現可能なのか、これを再定義することです。
既に、2012年6月に、 放射能災害からの救済を実現するものとして「子ども被災者支援法」が制定されましたが、これは抽象的な理念を掲げた理念法にとどまり、その実現は政府に委ねられたため、期待されたものの、結果的には、「放射能災害から命、健康を守る」ものとして機能しませんでした。つまり、従来の代表民主主義の立法過程を通じては、「放射能災害から命、健康を守る」立法の制定とその実施は絵に描いた餅であり、まず実現不可能です。
だからといって、私たちは諦める必要はありません。民主主義は何も代表民主主義だけではないからです。私たち一人一人の市民の意思を反映した直接民主主義、参加型民主主義もあるからです。とりわけ原発事故のような国難に直面した時こそ、国政に私たち一人一人の市民の意思を反映させる必要があり、その意味で、チェルノブイリ法日本版の制定こそ直接民主主義、参加型民主主義の理念に沿って取り組む意義があり、それが必要なのです。
しかし、「チェルノブイリ法日本版を制定せよ」と単に言い続けるだけでは、平和を夢見み、祈るのと同じで、永遠に実現されることはないでしょう。
では、現実的に、どのようにやったら実現されるのでしょうか。
その現実的なビジョンとして、既に、2つの成功例、モデルが日本と世界にあります。
1つは、日本で、1999年に市民立法を実現した情報公開法の制定運動の歴史です。
もう1つは、世界で、1997年に市民の尽力で成立した対人地雷禁止条約の制定運動の歴史です。
どちらも、市民の草の根の持続的な積み重ねの中から、一歩一歩、夢を形にしていきました(そのロードマップを以下にまとめました)。
私たちの取組みとは挑戦です。未だかつてなかったような(その意味で)新しい災害と危機に直面し、その解決のために新しい意識と新しい行動が求められているからです。
幸い、私たちには、別の意味で前人未到の課題に挑戦し、紆余曲折の末に輝かしい成功を収めた2つの実例が存在します。
だから、この成功例に背中を押され、制定までのロードマップについて現実的なビジョン(※1)を持ちながら、夢を一歩一歩形にする取組みに、挑戦することが可能です。
以上、放射能災害の真実、放射能災害の正義、放射能災害の救済のロードマップ、この3つについて再定義を試み、それを実行すること、
ここに、チェルノブイリ法日本版その可能性の中心があるのだと思います。
◆◆制定までのロードマップ◆◆
◎前者は、最初の一歩が、日本各地の自治体で地元市民と議員と首長が協力して情報公開の条例を制定し、次に、その条例制定の積み重ねの中から、最終的に情報公開法の制定にこぎ着けました。◎後者は、世界規模の取組みだけに以下の通り、紆余曲折を経ましたが、最後にゴールにこぎ着けました。
①.2人の若い女性(以下の写真参照)の思いからスタート
②.欧米の6つのNGOによる「地雷禁止国際キャンペーン」(ICBL)の結成
③.くり返し、世界各地で集会を開き、アピールし、参加するNGOが増加
④.ベルギーで世界初の「対人地雷全面禁止法」成立。⑤.NGOから地雷の全面禁止に積極的な国々(カナダ、オランダなど)に呼びかけて、「いっしょに会合を持とう!」と提案
⑥.ICBLと政府代表者による初会合がジュネーブで開催→カナダ政府が「秋にオタワでNGOと地雷禁止に賛成する国を招いて国際会議を開こう」という提案し実現。しかし意見が割れまとまらず。カナダ外相、再度「来年12月にオタワで対人地雷を全面的に禁止する条約の調印式を開きましょう!」と提案→進展へ。
⑦.検討の末、「賛成する国だけで条約を作る」という前例のないアイデアを採用し進められ、同時に「一般の人々を巻き込む地雷は人道問題だ」と反対国を説得。
⑧.1997年12月3日、オタワで対人地雷全面禁止条約が締結(※2)。
(※1)対人地雷禁止条約の制定に尽力したジョディ・ウィリアムズさんのスピーチ
「世界平和の現実的なビジョン」(日本語字幕)
→その文字起し
Jody Williams: A realistic vision for world peace(英語のみ)
(※2)「地雷禁止国際キャンペーン( ICBL。60ヵ国以上から1000を超えるNGOが参加)」とコーディネーターのジョディ・ウィリアムズさんはその活動が評価され、1997年のノーベル平和賞を受賞しました。
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