カナダ・バングーバーに住む科学者の落合栄一郎さん。
2016年10月に来日した際、彼の講演を聞き、3.11以来、沢山の専門家の講演を聞く機会があったけれど、この日は特別な経験をしたと感じた(その報告は->こちら)。
それは、 物知りになったのではなく、もしかしたら賢くなれるのではないかと思えたからである。
なぜなら、落合さんの問題の出し方はおよそ専門家らしからぬものだから--はたして放射線と生命は共存できるのか、と?
このような疑問と正面から向き合うのは、既に放射能にすっかり囲まれ、何も考えないうちに放射能との共存を刷り込まれた社会の中に住んでいる私たちにとっては至難の技だ。
まるで私たちの頭は放射線に汚染されたみたいで、そういうボーとした私たちからみると、落合さんは放射線に汚染されないどこかの星(仮定の話)からやってきた宇宙人、ETみたいに思える。
この日、落合さんは、即死のレベルである10シーベルトの放射能を取り上げ、これを通常のエネルギーに置き換えると10ジュール/kgで、これは体温をわずか0.0024度上げるにすぎない。たったこれだけのエネルギーが人間に即死をもたらすのはなぜか?と問うた。
本当にそうだと思った。311以来、放射能のことを勉強し始めて、いつもここで躓いた。けれど、(自分の不勉強を棚にあげて言うと)その疑問を解き明かしてくれる人に出会わなかった。そこで、こうつぶやくしかなかった--こんなことを不思議に思う自分がバカなのか。しかし、初めて、この疑問を共有できる人に出会えた。
落合さんは、アンデルセンの「裸の王様」をわらう少年なんだ。そう思ったら、少年のような姿勢で放射能と向き合える気がした。そして、そこからしか、放射能の現実と向き合う力は育たないと思った。それで、賢くなれるのではないかと思った。
その「裸の王様」をわらう少年が、自分だけでなく、一人でも多くの人たちが「裸の王様」をわらう少年になって欲しいと願って絵本を作った。それが
「放射線、ほんとに危険なの、どうして?」
「裸の王様=放射能と原子力ムラ」をわらう少年をめざす者にとって、必見の作品である(見たい人は->こちらまで)。
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