2019年3月30日土曜日

くじ引きの勝利&もっとくじ引きの導入を:大阪第1検察審査会、森友事件、佐川前国税庁長官ら「不起訴不当」とする(2019.3.29)

本日の毎日新聞記事
森友事件、佐川前国税庁長官ら「不起訴不当」 

            (佐川宣寿・前国税庁長官=国会内で2018年3月27日、竹内紀臣撮影)

森友事件も原発事故と同様、権力を持つ人たちが「終わったもの」として必死になって幕引きを画策してきましたが、それに正面から立ちはだかるのが検察審査会です。
今回もそれを実行して見せました。

なぜ検察審査会がかくも勇猛果敢に権力者に抵抗できるのか。
それはここが市民の良識が発揮される場だからです。
では、なぜそんな良識が発揮できるのか。
それは権力者のコントロールが及ばない場だからです。
なぜそんなまれなことが可能なのか。
それは市民がくじ引きで選ばれた場だからで、権力者のコントロールが容易ではないからです。
だから、これは「くじ引きという技術の勝利」なのです。

それは、先日結審した東電幹部の刑事裁判を実現させた、東電幹部の起訴相当議決をした2014年7月31日の東京第5検察審査会の「事件」で記憶に新しいところです。

私は、311の1年前の2010年4月に、
「小沢一郎氏の起訴相当」検察審査会、全員一致で議決」
のニュースを読んだ時、初めて、くじ引きの威力、勝利を思い知らされました。

それは「民主主義は最悪の形態だ、だが、それよりましなものがない」とシニカルに語ったチャーチルの発言に対して、「もうひとつの民主主義は可能だ」を身をもって示した生きた実例だと思ったからです。

チャーチルの「民主主義」は議会制民主主義で、古代ギリシャの民主主義の技術である秘密選挙を含んでいますが、古代ギリシャのもう一つの技術である「くじ引き」は無視されていました。「最悪の形態」に堕する原因の1つは「くじ引き」を採用していなかったからで、「くじ引き」に挑戦すれば、今回の検察審査会のように「最善の結果」が引き出すことが可能なのです。

私は、検察審査会に限らず、最高裁の裁判官も「くじ引き」で選ぶべきだと思います。少なくとも全裁判官が秘密投票した上位(例えば)30名の中から「くじ引き」で選べば、たとえば志賀原発差止判決を書いた井戸謙一さんのような人が選ばれる可能性もあります。今よりずっとましな最高裁になるのは間違いない。
同様に、国会議員も投票で上位(例えば)千名の中から「くじ引き」で選べば、安倍首相だって落選する可能性もあるし、今よりはずっとましな議員が選ばれるのは間違いない。
厚労省の統計不正問題を調査する第三者委員会(特別監察委員会)のメンバーの人選も「くじ引き」を導入すれば、今よりずっとましなものになるのは間違いない。
いま、様々な審議会や第三者委員会のメンバーの人選も大胆に「くじ引き」を導入すれば、今よりずっとましなものになるはずです。

そのことを、20年前、「くじ引き」について考察して、「入れ札」という小説を書いた菊池寛を論じた柄谷行人の「入れ札と籤引き」を読み、「くじ引き」が人類の遺産としてとてつもなく重要なものであり、「くじ引き」の活用は未だ発展途上にあることを初めて知りました。

いまが、日本社会が持ちうる最悪の要素の全てを露呈した311以後の「全てがあべこべ」の暗黒時代だからこそ、すべての「希望の扉」を叩き、開き、注ぎ込むことに努力する必要があります。そのとき、この「くじ引き」という技術がいかに凄いものであるか、東電幹部は言うまでもなく、権力を持った人たちはその恐ろしさを実感していて、私たち市民が「ボーとして、その重要性に気がつかないこと」をひたすら願っているはずです。

だからこそなおのこと、「くじ引き」の偉大さに目覚めた者が世界を変える可能性を持つのだと思いました。

参考:くじ引きによる市民の政治参加の偉大な勝利、そしてその応用について--検察審査会の東電幹部起訴相当議決--(2014.8.8) 

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