2012年10月末、ジュネーブで開催した国連人権理事会のUPR(普遍的定期審査。今回の審査の対象が日本政府だった)に合わせ、ジュネーブの国連施設内で日本の人権NGOの主催によるサイドイベントが開催された。UPR終了後に、サイドイベントに出席したメンバーで合同記者会見を開いたときの発言です。
***************
ふくしま集団疎開裁判弁護団 柳原敏夫
今日のUPR審査を受けて、3つの印象があります。
1、一番目は世界各国は日本の人権状況について現状認識が全くできていないという印象です。
1回目の2008年のUPR審査の時の延長として、それとの連続性の中に、継続性の中にいるという認識をしているというふうに思いました。
しかし、日本は2011年の3月以降、人権状況は一変しています。
この時以来日本は放射性物質からの不断の攻撃という、言わば目に見えない、匂いもしない低線量被ばくの核戦争という戦争に突入し、今なお、その戦争の継続中にあります。
その戦争の最大の被害者は、子どもたちです。
彼らの命への脅威です。
この現状認識が世界の各国は全くできていないことに驚きを隠しきれません。
2、2番目は、死刑制度の熱心な言及があったことです。
「犯罪を犯し死刑判決を受けたものを救済すべきだ」という勧告をされていました。
だとすれば、福島の子供たちは犯罪も犯していないのに死刑と同様の命の危機にさらされています。
このような福島の子どもたちは救済すべきだと勧告するのが当然だと思います。
死刑判決に言及する世界の人達は、
このような福島の子供たちも当然言及すべきだというふうに思いました。
3、最後は、オーストリアの政府が、唯一、福島の子どもたちの人権に言及したことです。
1960年代の最大の人権問題はベトナム戦争でしたが、
それが世界に認知されたのは5年以上かかりました。
しかもそれは市民たちチョムスキーたちの不断の取り組みによって、その認知がされました。
私たちも同じように、市民の不断の取り組みを通じて、
この福島の問題が日本のみならず、世界の最大の人権侵害の問題であるということを、
世界に認識してもらえるように取り組みをする決意を今日新たにしました。
以上です。
0 件のコメント:
コメントを投稿